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不動産投資は「物件選び」より先に「融資」で決まる

不動産投資は「物件選び」より先に「融資」で決まる

こんにちは。株式会社梶原エステート梶原です。

収益物件を探し始めた方から、よくこんな相談をいただきます。「良い物件が見つかったので、これから融資を相談しようと思う」。

順番が逆です。不動産投資では、買える範囲は融資で決まります。融資の見通しを立てずに物件を探すのは、予算を知らずに買い物をするようなもの。しかも良い物件ほど競争が激しく、資金の目処が立たない買主は交渉の土俵にすら上がれません。

今回は、金融機関が何を見ているのかを整理します。

審査は「人」と「物件」の掛け算

金融機関の審査は、大きく二つの軸で行われます。

ひとつは属性、つまり借りる人の返済能力です。年収、勤務先、勤続年数、保有資産、既存の借入状況、信用情報。もうひとつが物件の担保価値と収益力です。どちらか一方が優れていれば通るというものではなく、両者の組み合わせで判断されます。

属性が強ければ物件評価の多少の弱さは許容されますし、逆に土地値の堅い物件であれば属性面を補ってくれることもあります。自分がどちらで勝負するのかを把握しておくことが、金融機関選びの出発点になります。

物件はこう評価されている

金融機関が物件を見る方法は、主に二つです。

積算評価は、土地と建物を原価から積み上げる方法です。土地は路線価に面積を掛け、建物は再調達価格に延床面積を掛けたうえで、残存年数を耐用年数で割った割合を乗じます。土地の割合が高い物件ほど評価が出やすく、逆に建物価格の比率が高い区分マンションなどは評価が伸びにくい傾向があります。

収益還元評価は、物件が生む収益から逆算する方法です。年間の純収益を、エリアや物件種別ごとの期待利回りで割り戻して価値を算出します。

ここで押さえていただきたいのは、売買価格と金融機関の評価額は別物だということです。評価が売買価格に届かなければ、その差額は自己資金で埋めることになります。「フルローンが出る想定だったのに、蓋を開けたら二割の自己資金が必要だった」という事態は、この乖離から生まれます。

そして重要なのは、この評価が出口にも影響することです。評価が出にくい物件は、次の買主も融資を引きにくい。つまり売りにくい。購入時の融資の付きやすさは、将来の流動性そのものなのです。

耐用年数が融資期間を縛る

融資条件のうち、キャッシュフローへの影響が最も大きいのは金利ではなく期間です。

同じ金利でも、返済期間が15年か30年かで年間返済額はまったく違います。仮に借入五千万円、金利二パーセントとすると、期間の違いだけで年間の返済負担は数百万円単位で変わります。金利が0.5%動くよりも、期間が10年動くほうが影響は大きいのです。

そして融資期間の上限を実質的に決めているのが、建物の法定耐用年数です。木造22年、重量鉄骨34年、鉄筋コンクリート47年。多くの金融機関は「耐用年数 − 築年数」を融資期間の目安とします。築15年の木造なら残り7年、という計算です。

だからこそ、利回りの高い築古木造は要注意です。表面利回り15%に見えても、融資期間が7年しか取れなければ、毎年の返済額が家賃収入を圧迫し、手元にはほとんど残りません。高利回りの正体が短い融資期間である、というケースは実際によくあります。

なお、金融機関によっては経済的残存耐用年数を独自に評価し、法定耐用年数を超える期間を認める場合もあります。この差が、金融機関選びの実質的な意味です。

金融機関には性格がある

一口に金融機関と言っても、姿勢はまったく異なります。

都市銀行は金利が低い一方、属性と物件の両方に高い水準を求めます。地方銀行や信用金庫は、営業エリア内の物件であること、地元に住んでいることなどを重視し、地域との関わりを評価してくれる傾向があります。信用組合はさらに地域密着で、事情を汲んだ判断をしてくれることもあります。ノンバンクは金利が高い代わりに、耐用年数超過の物件にも期間を出してくれる場合があります。

つまり、ある銀行で断られたことは、その物件に価値がないことを意味しません。単に相性が合わなかっただけということが、実務では頻繁に起こります。

福岡には地元に根ざした金融機関が複数あり、エリアや物件タイプによって得意分野が分かれています。どこに持ち込むかの判断が、条件を大きく左右します。

一棟目の融資が、二棟目を決める

見落とされがちですが、融資には順番の設計が必要です。

一棟目で条件の悪い借入をすると、その返済負担が二棟目の審査に響きます。金融機関は既存借入を含めた全体の返済能力を見るため、一棟目の内容が次の選択肢を狭めてしまうのです。

拡大を考えているなら、一棟目の段階から次を見据えることになります。返済比率に余裕を持たせること。決算書や確定申告の内容を整えておくこと。そして、取引を始めた金融機関との実績を積み上げること。目先の条件だけで飛びつかない判断が、長期的には効いてきます。

まとめ

融資審査は属性と物件の掛け算で決まる。物件評価と売買価格には乖離があり、その差は自己資金で埋めることになる。融資期間は金利以上にキャッシュフローを左右し、その上限は建物の耐用年数が縛る。高利回りの築古物件は、短い融資期間が正体であることが少なくない。金融機関ごとに姿勢は異なり、一行で断られても他行では通ることがある。そして一棟目の融資条件が、その後の展開を規定する。

物件を探し始める前に、まず自分がどの金融機関で、どのくらいの規模まで借りられるのか。その見通しを持つことが、遠回りに見えて最短の道です。


株式会社梶原エステートは福岡で不動産売買・仲介・賃貸管理を手がけており、地域の金融機関の融資姿勢についても日々情報を得ています。物件探しの前段階でのご相談も歓迎しております。

「自分の属性でどのくらいの規模が狙えるのか知りたい」 「検討中の物件に融資が付くか、事前に見立てがほしい」

そうした段階でお気軽にお声がけください。

株式会社梶原エステート 代表取締役 梶原 淳 不動産売買・売買仲介・賃貸管理

※融資条件は金融機関ごとに異なり、時期や個別の状況により変動します。記載内容は一般的な傾向です。